ほとんどの虫刺されによる水疱は、適切なセルフケアで数日のうちに改善しますが、中には「たかが虫刺され」と軽視していると、深刻な事態に発展するケースも存在します。特に、水疱ができるほどの強い反応が出た場合は、見過ごしてはならない危険なサインがあります。以下に挙げるような症状が見られた場合は、自己判断で様子を見るのではなく、速やかに皮膚科や救急外来を受診することを強くお勧めします。第一の危険サインは、「全身に広がる異常」です。これは、アナフィラキシーショックの兆候である可能性があります。刺された場所以外の皮膚にもじんましんが広がってきた、息苦しさや動悸、めまい、吐き気を感じる、といった症状が現れた場合は、命に関わる緊急事態です。ためらわずに救急車を呼んでください。第二の危険サインは、「感染の兆候」です。刺された部分の赤みや腫れが、時間の経過とともにどんどん広がっていく、患部が熱を持ち、ズキズキとした痛みが強くなる、黄色い膿が出てくる、といった場合は、掻き壊した傷口から細菌が侵入し、化膿している(蜂窩織炎など)可能性があります。この状態を放置すると、跡が残りやすくなるだけでなく、発熱などの全身症状につながることもあるため、抗生物質による治療が必要です。第三の危険サインは、「刺された場所」によるものです。まぶたが完全に腫れ上がり、目が開かなくなってしまった場合や、唇や口の中を刺されて、舌や喉まで腫れてきた場合は、視機能や呼吸に影響を及ぼす危険性があります。また、目のすぐ近くを刺された場合も、念のため眼科の受診も検討すべきです。子供やお年寄りは症状が重くなりやすいため、特に注意が必要です。「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら、それは体が発するSOSサイン。専門家の力を借りることをためらわないでください。