紙魚はどこから来るのかという問いの答えは、半分は「外から」、そしてもう半分は「あなたの家が呼んでいるから」です。彼らはただ闇雲に家に侵入するわけではありません。自分たちが生き延び、子孫を繁栄させられる快適な環境を求めてやって来るのです。つまり、家の環境を彼らが嫌う状態に変えることができれば、たとえ侵入されたとしても定住を防ぎ、自然と数を減らしていくことができます。紙魚が最も好むのは、高温多湿な環境です。特に湿度が七十パーセントを超えるような場所は、彼らにとって天国です。したがって、対策の基本は「除湿」と「換気」に尽きます。天気の良い日には窓を二か所以上開けて、家の中に空気の通り道を作りましょう。特に、湿気がこもりやすい押し入れやクローゼットは、扉を定期的に開け放ち、扇風機などで強制的に空気を循環させるのが効果的です。除湿機やエアコンのドライ機能を活用するのも良い方法です。次に重要なのが、彼らの餌を断つことです。紙魚の主食はデンプン質のものです。これには、本の製本に使われる糊、壁紙の接着剤、そしてホコリの中に含まれる髪の毛やフケ、食べこぼしなどが含まれます。こまめな掃除を心がけ、ホコリを溜めないことが何よりも大切です。特に、本棚の裏や家具の下、部屋の隅など、掃除機が届きにくい場所はホコリが堆積しがちです。定期的に家具を動かして掃除することで、彼らの食料庫を破壊することができます。また、本や書類を床に直接置かず、プラスチック製の収納ケースに入れるなどして、彼らがアクセスしにくいように保管方法を工夫することも有効です。衣類も同様で、長期間着ないものは防虫剤と共に密閉できるケースに保管しましょう。紙魚が棲みにくい環境とは、すなわち、清潔で風通しの良い、乾燥した空間です。これは人間にとっても快適な環境のはずです。日々の少しの心がけが、紙魚を遠ざける最も確実な方法なのです。