自然界の「分解者」であり、基本的には益虫として分類されるだんごむし。しかし、ガーデニングや家庭菜園を愛する人々にとっては、時に、その評価が「害虫」へと変わることがあります。彼らが、大切に育てている植物に対して、直接的な「実害」を及ぼすことがあるからです。通常、だんごむしの主食は、腐った落ち葉や朽木といった、すでに死んだ植物(腐植物)です。しかし、彼らが異常に大量発生し、本来の餌である腐植物が不足してくると、彼らの食性は、時に「生きている植物」にまで及ぶことがあるのです。特に、彼らの被害に遭いやすいのが、植えたばかりの、まだ根が十分に張っていない、弱々しい「苗」です。柔らかい新芽や、双葉、あるいは地際近くの若い茎は、だんごむしにとって、格好の餌食となります。朝、水やりをしようとしたら、昨日まで元気だったはずの苗が、根元からかじられて倒れていた。そんな悲劇の犯人が、だんごむしであるケースは少なくありません。また、地面に接しているイチゴの果実や、発芽したばかりの大根や人参の芽なども、彼らのターゲットになりやすいです。さらに、植物への直接的な食害だけでなく、彼らの存在そのものが、間接的な害をもたらすこともあります。だんごむしは、湿った土壌を好むため、彼らが大量にいるということは、その場所が「過湿」であるサインです。このような環境は、植物の根腐れや、ナメクジ、あるいは様々な病原菌の発生を招く原因ともなります。つまり、だんごむしは、庭や畑の「健康状態」を示す、バロメーターでもあるのです。彼らが、ただ土の上にいるだけでなく、植物の周りに群がっていたり、新芽にかじられた跡があったりした場合は、もはや彼らを益虫として見過ごすことはできません。あなたの庭を守るための、積極的な対策が必要となる段階です。