美味しいお米を、最後まで美味しく、そして安全に食べきるためには、購入時からの「選び方」と、家庭での「保存法」の両輪が大切です。虫の発生を未然に防ぐための、プロの視点からのアドバイスをご紹介します。まず、「お米の選び方」です。スーパーの棚には、様々なパッケージのお米が並んでいますが、注目したいのが「袋の素材」と「精米年月日」です。可能であれば、厚手のビニール袋で、かつ、内部の空気を抜いて真空パックに近い状態になっているものを選びましょう。紙袋は、わずかな隙間から虫が侵入しやすく、また、袋そのものを食い破られるリスクもあります。そして、「精米年月日」は、できるだけ新しいものを選ぶのが鉄則です。お米は、精米された瞬間から、酸化が始まり、風味が落ちていきます。そして、時間が経てば経つほど、流通過程で虫の卵が産み付けられるリスクも高まります。夏場であれば、精米から一ヶ月以内、冬場でも二ヶ月以内に食べきれる量を購入するのが理想です。次に、「家庭での保存法」です。購入してきたお米を、袋のままキッチンの隅に置いておくのは、最もやってはいけない保管方法です。必ず、密閉性の高い容器に移し替えましょう。最も手軽で、場所も取らず、効果的なのが「ペットボトル」での保存です。きれいに洗って、完全に乾燥させた2リットルのペットボトルに、漏斗などを使ってお米を移し替えます。ペットボトルのキャップは、非常に密閉性が高いため、虫の侵入をほぼ完璧に防ぐことができます。そして、そのペットボトルを、冷蔵庫の野菜室や、ドアポケットで保管する。これが、お米の保存における「黄金ルール」です。15℃以下の低温環境は、虫の活動を完全に停止させ、お米の酸化を防ぎ、風味を長持ちさせるという、一石三鳥の効果があります。冷蔵庫にスペースがない場合は、家の中で最も涼しく、風通しの良い、直射日光の当たらない場所(例えば、北側の廊下の収納など)を選び、密閉容器に入れた上で、市販の米びつ用防虫剤を併用しましょう。正しい知識を持つことが、毎日のお米を、最高の状態で楽しむための、一番の秘訣なのです。