家の壁や庭に、細長いキセルガイが大量発生。植物への害は少ないと分かっていても、その見た目の不快感から、なんとかしたい。しかし、化学的な殺虫剤は、ペットや環境への影響が心配。そんな時に役立つのが、安全な素材や、昔ながらの知恵を活用した、自然派の駆除・予防策です。キセルガイ対策の基本は、彼らが棲みにくい環境を作ること、すなわち「乾燥」と「清掃」に尽きます。まず、最も重要なのが、彼らの住処であり、餌場でもある「コケ」や「カビ」の除去です。家の北側の外壁や、ブロック塀、コンクリートのたたきなどに緑色のコケが生えている場合は、高圧洗浄機や、ブラシ、あるいは市販のコケ除去剤などを使って、徹底的に洗い流しましょう。これだけで、彼らの食料源を断ち、その数を劇的に減らすことができます。次に、彼らの「隠れ家」を奪うことです。庭に置かれた植木鉢やプランターは、定期的に動かし、その下を清掃して乾燥させます。不要な石や木材、落ち葉の吹き溜まりなども、彼らにとっての絶好のシェルターとなるため、こまめに取り除き、庭全体の風通しを良くすることが重要です。もし、家の中に侵入してくる場合は、侵入経路となっている壁のひび割れや、サッシの隙間を、パテやテープで塞いでしまいましょう。すでに見つけてしまった個体を駆除する場合は、ナメクジと同様に「ビールトラップ」が有効です。ビールの酵母の香りに誘われて容器の中に落ち、溺れてしまいます。また、より穏便に済ませたい場合は、割り箸などで一匹ずつ集め、家の外の、湿った林や公園などに逃がしてあげるのも一つの手です。ただし、絶対に素手では触らないようにしてください。薬剤に頼る前に、まずは家の周りの環境を見直し、彼らにとって魅力のない、住みにくい場所へと変えていくこと。その地道な努力こそが、最も持続可能で、安全なキセルガイ対策と言えるでしょう。