家の周りの湿った場所で、灰色の、甲殻類のような虫を見つけた時、多くの人がそれを全て「だんごむし」と認識してしまいます。しかし、実は、私たちの身の回りには、だんごむしと非常によく似ていながら、全く別の種類である「ワラジムシ」という生き物が、同じような環境に混在して生息しています。両者は、生態も対策もほぼ同じであるため、厳密に区別する必要性は低いかもしれません。しかし、その違いを知っておくことは、私たちの自然に対する理解を、少しだけ豊かにしてくれます。だんごむしとワラジムシを見分けるための、最も確実で、そして最も簡単な方法は、彼らに「刺激を与えてみること」です。指でそっと触れたり、棒で軽く突いたりしてみてください。その時、見事に体を丸めて、完全な球体、すなわち「団子」のようになれば、それが「だんごむし」です。この防御行動こそが、彼らの名前の由来であり、最大の特徴です。一方、同じように刺激しても、体を丸めることができず、平たい「草鞋(わらじ)」のような形のまま、慌てて逃げ出そうとするのが、「ワラジムシ」です。彼らは、体を丸めるための体の構造を持っていないのです。その他にも、いくつかの細かい違いがあります。だんごむしの体には、光沢があり、比較的ツルツルしていますが、ワラジムシの体には光沢がなく、より平たく、体の縁がギザギザしているように見えます。また、お尻の部分から、二本の尾のような突起(尾肢)がはっきりと見えれば、それはワラジムシです。だんごむしは、この突起がほとんど目立ちません。どちらも、腐った落ち葉などを食べる、自然界の分解者であり、基本的には益虫です。しかし、大量発生すれば、どちらも不快害虫となり、時に植物の苗を食害することもあります。もし、あなたの家の周りにいるのが、丸まらないワラジムシであったとしても、対策方法はだんごむしと全く同じ。湿気と隠れ家をなくす、地道な環境改善が、最も有効な解決策となるのです。
だんごむしと間違いやすい!ワラジムシとの見分け方