新生活を始めたばかりの、ピカピカのユニットバス。そこで私が初めて「彼ら」に遭遇したのは、入居して数週間が過ぎた、ある夜のことでした。シャワーを浴びようと足を踏み入れた瞬間、洗い場の床に、白いゴマのようなものが散らばっているのに気づきました。目を凝らすと、その白い粒は、なんと、うごめいていました。そして、私が近づいた気配に驚いたのか、数匹がピョン、ピョンとエビのように跳ねたのです。私は、生まれて初めて見るその生き物の姿に、言葉を失いました。その日から、私と謎の「エビみたいな虫」との静かな戦いが始まりました。最初は、見つけるたびにシャワーで流していましたが、翌日にはまた同じ場所に現れます。まるで、無限に湧き出てくるかのようでした。私は躍起になって、強力なカビ取り剤で床や壁を磨き上げました。しかし、それでも彼らは数日すると復活してくるのです。途方に暮れた私は、インターネットで彼らの正体を調べることにしました。そして、それが「トビムシ」という虫で、湿気とカビを食べて生きていることを知りました。そして、一つの可能性に思い至りました。浴槽の「エプロン」と呼ばれる側面カバーの内部です。恐る恐るエプロンを外してみると、そこには、私の想像を絶する光景が広がっていました。薄暗く湿った空間の壁や床には、びっしりと黒カビが生え、無数のトビムシたちが蠢いていたのです。そこは、まさに彼らの帝国でした。私はその日、ゴム手袋とマスクで完全防備し、半日かけてエプロンの内部を徹底的に洗浄しました。カビを根こそぎ除去し、完全に乾燥させたのです。それ以降、ぱったりと、あのお風呂場のエビみたいな虫の姿を見ることはなくなりました。この戦いを通じて、私は学びました。目に見える問題だけを追いかけても意味がない。その問題を生み出している、見えない根本原因を突き止め、それを解決しない限り、本当の平和は訪れないのだと。
私のバスルーム戦記!謎のエビみたいな虫との格闘