日本国内には、普段私たちが目にするドバトやキジバト以外にも、限られた環境にのみ生息する魅力的な鳩の種類がいくつか存在します。その代表格とも言えるのがアオバトです。アオバトは、その名の通り全身が美しい緑色をしており、まるで南国の鳥のような鮮やかさを持っています。主に広葉樹林に生息し、果実を主食としていますが、特筆すべきは海水を飲むという不思議な習性です。夏から秋にかけて、神奈川県の大磯海岸や北海道の小樽などの特定の場所に、群れを成して波打ち際までやってくる姿は、バードウォッチャーの間で非常に人気があります。なぜアオバトが海水を飲むのかについては、果実に不足しているミネラルを補給するためという説が有力ですが、荒波にさらわれそうになりながら必死に水を飲む姿には、生命の力強さを感じずにはいられません。また、島嶼部に目を向けると、カラスバトという日本最大級の鳩の種類に出会うことができます。小笠原諸島や伊豆諸島などに生息するこの鳥は、全身が黒紫色で、光の加減で首筋が虹色に輝く非常に高貴な姿をしています。かつてはもっと広く分布していましたが、生息地の減少により現在は絶滅危惧種に指定されています。カラスバトは非常に警戒心が強く、深い森の中でウッウーという低い声で鳴くため、その姿を見ることは容易ではありません。さらに、埼玉県などの限られた地域で見られるシラコバトも忘れてはなりません。シラコバトは淡い灰色がかった白色の体に、首の後ろの黒いリング状の模様が特徴です。かつては関東平野に広く分布していましたが、現在は国の天然記念物として保護されており、その上品な姿は埼玉県の県鳥にもなっています。これらの珍しい鳩の種類を知ることは、日本の自然環境の豊かさと繊細さを理解することに繋がります。ドバトのように人間の近くで適応するものもいれば、アオバトやカラスバトのように特定の環境でしか生きられないものもいます。鳩の種類が多様であるということは、それだけ日本に多様な環境が残されている証拠でもあります。身近な鳩から一歩足を延ばして、こうした希少な種類に思いを馳せてみるのも、野鳥観察の深い楽しみと言えるでしょう。