夜リビングの明かりに誘われて何かが飛んできたかと思うと床を這い回る黒い虫。多くの人がその瞬間にゴキブリだと叫び新聞紙を丸めて戦闘態勢に入ります。しかしその虫本当はゴミムシかもしれません。ゴミムシはその名の通りゴミのある場所や石の下などに生息するオサムシ科の昆虫で基本的には屋外で生活しています。しかし夜行性で光に集まる習性があるため窓の隙間や玄関の開閉時に入り込んでしまうことがよくあります。彼らをゴキブリ 似てる虫として誤認してしまう最大の要因はその黒っぽい見た目と地面を這う姿にありますが落ち着いて比較すれば両者は全く異なる生き物であることがわかります。最もわかりやすい違いは背中の硬さです。ゴキブリは狭い隙間に潜り込むために体が平たく柔らかい構造をしており前羽も革のような質感です。対してゴミムシは前羽が非常に硬く左右の羽が背中の中心でピタリと合わさって内臓を守っています。見た目にも頑丈そうで厚みがありゴキブリのようなペラペラとした印象はありません。もし勇気を出して捕獲し指でつまんでみたならその硬さの違いは歴然としています。また飛ぶという行為に対する認識も重要です。ゴキブリも飛ぶことはありますが基本的には高い所から滑空するか繁殖期に移動するために飛ぶ程度で頻繁に室内を飛び回ることは稀です。しかしゴミムシの仲間には飛行能力が高いものが多く室内の蛍光灯に向かってブーンと大きな音を立てて飛んでくることがあります。その羽音は重低音でゴキブリのカサカサ音とは異なります。さらに彼らの食性も大きく異なります。ゴキブリは人間の食べ残しや油汚れなどあらゆる有機物を食べる雑食性ですがゴミムシの多くは他の昆虫やミミズなどを捕食する肉食性です。つまり家の中に侵入したとしても彼らが狙っているのは人間の食料ではなく家の中にいる小さな虫たちなのです。その意味では彼らは益虫としての側面も持っています。ただし注意が必要なのはゴミムシの中には危険を感じると強烈な臭いを放つ種類や高温のガスを噴射するミイデラゴミムシのような種類もいることです。ゴキブリだと思って慌てて踏み潰したり素手で触ったりすると火傷や悪臭の被害に遭う可能性があります。もし家の中で黒くて硬い虫を見つけたらゴキブリ用殺虫剤を噴射するのではなく紙とコップを使って捕獲し外に逃がしてあげるのが賢明です。彼らは家の中に巣を作ることも繁殖することもありません。ただ光に惹かれてやってきただけの来訪者に過ぎないのです。その違いを理解していれば無駄な殺生を避けることができ自分自身の精神的な平穏も保つことができるでしょう。