私が初めて赤虫という存在を意識したのは、まだ小学生の頃に近くの小川で泥遊びをしていた時でした。網で川底の泥をすくい上げると、真っ黒な泥の中から糸のように細く、驚くほど鮮やかな赤い虫がうごめいているのを見つけたのです。その時は何という虫なのかも分からず、ただその不気味なほどの赤さに目を奪われましたが、家に帰って図鑑で調べたところ、それがユスリカの幼虫である赤虫だと知りました。それからというもの、私は赤虫の不思議な魅力に取り憑かれ、暇さえあれば川へ通うようになりました。赤虫は泥の中で自分の体から分泌する糸を使って筒状の巣を作り、その中で安全に暮らしながら周囲の有機物を食べています。金魚を飼い始めた時、川で捕まえた赤虫を水槽に入れてみると、それまでおとなしかった金魚が猛烈な勢いで赤虫に食いついた光景は今でも忘れられません。自然界において赤虫がいかに重要な食料源であるかを、目の当たりにした瞬間でした。大人になりアクアリウムを趣味にするようになってからも、赤虫との縁は続いています。市販されている冷凍赤虫のパックを開けるたびに、あの日の小川の匂いや泥の感触が蘇ります。赤虫は、魚たちにとっては最高の御馳走であり、飼育者にとっては魚の健康状態を向上させる魔法のエサのような存在です。しかし、赤虫の魅力はその実用性だけではありません。彼らが過酷な泥底でヘモグロビンを駆使して懸命に生きている姿を想像すると、生命の逞しさを感じずにはいられません。夕暮れ時に川辺で舞うユスリカの群れを見て、多くの人は不快に思うかもしれませんが、私はその足元の泥の中で静かに成長している赤虫たちのことを思い、感謝の気持ちを抱くようになりました。小さな赤い虫一匹であっても、それが欠ければ川の魚たちは飢え、生態系のバランスは崩れてしまいます。赤虫とは、自然の豊かさを支える名もなき功労者であり、私の原風景の一部となっている大切な生き物なのです。
川底で見つけた小さな赤い命との出会い